作品紹介をどこかから引用してこようと思ったら、いいのが見つからなかったので。
近未来の人当たりはいいけどドライな事なかれ主義男子高校生が、人と妖怪がドンパチやってるバーチャル幕末ワールドにトリップし、生命力とか情愛とか根性とか意思とかを少しずつ身につけながら、職業:きゅうせいしゅのレベルをじわじわガンガン上げていき、友達と喧嘩したり、人と妖怪の架け橋になったり、バーチャルワールドの「神」が定めた「既定路線」に立ち向かったり、バーチャルワールドの正体に迫ったりするお話です。伝われ。
ただでさえ難解な世界観とストーリーなのに、
登場人物が多く、かつ各キャラの背景を丹念に描いてくれるため、話はあっちこっちに飛ぶし、
画面もコマ割りというよりはページいっぱいに使って絵を描くような切り方だし、
描き込みの密度が半端なく、写植が埋もれることも多々、
その上テキストで話が回ってく漫画で、読みづらさはかーなーりーなものなんですけど、
ここまで圧倒的に作りこまれた世界観で、作りこまれたストーリーを、作りこまれた画面で見せつけられると、
いっそ気持ちよくてこれは最終巻までついていって完結したら一気に読むしかない。
と、まだ巻数の少ないうちから腹を括らせてくれた、大好きな漫画です。
世界観がほんと好きなんです。ただのタイムスリップ歴史ファンタジーかと思いきや、どうもそれだけじゃない、と思ったらSFだったー! というか。
SFと言ってもSF全然詳しくないのでよくわかりませんけど、
「科学と信仰の境目はどこだ?」
みたいな話で、これがまた思いっきり私好みなんです。
現代日本だとどうも神話や伝説は荒唐無稽な迷信と見なされがちだけど、あれは当時の(正しい意味での)世界観に基づいた「科学」であり、現代とは文法が違うだけで同じものを見て語り継いだものではないか。
などというのが最近の私の考えでして。なんかの番組で見た、最新の数学に基づいた自然界にある公式を図案化したものとやらが曼荼羅にそっくりで、いよいよその考えを深めてるんですけど、
この漫画はその考えと非常に近い問題を取り扱ってる気がして、ほんっと読んでてワクワクするんです。
「最終章に入った」という作者さんの言及があってから何冊か目の今巻で、いよいよバーチャルワールドの核心に迫り、盛り上がってまいりました。
最初は脇役に出番をかっさらわれまくってた主人公が、気づけばしっかり主人公をやってるのもまた感慨深いのなんの!
余談ですがこの漫画、2008年に
アニメ化もしてます。
基本的にメディアミックス作品は「原作のイメージが損なわれる!」と毛嫌いしちゃう私ですが、
このアニメは原作に忠実どころか、難解(かつ他キャラに食われまくり)な原作の第一部を、
主人公を主人公らしく、ものすごくわかりやすい話にまとめてくれた名アニメで、全話視聴いたしました。
続きもやって欲しいなーとか密かに思ってます。

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