
「あの坊ちゃんが私達に何も言わずに泣きはらすなんて!
一体パーティーで何があったの!? という
さすがにギャグでは済まされない場面なのに…」
「あの顔のせいで まさかの笑ってはいけない使用人状態…!」
私が斎藤けんさんの作品と出会ったのはAmazon.co.jp経由でした。
おすすめ商品という機能の存在に気づいてから暫くの間、斎藤けんさんの『花の名前』がトップに君臨してまして。
「機械に人の好みがわかるかよ、そこまで言うなら買ってみてやろうじゃん」と全力で上から目線で1巻を買ってみたところ、
あまりにドツボで土下座する思いで既刊分揃えました。アマゾンこわい。
以降、斎藤けんさんの単行本はすべて購入しております。
どれもこれもお伽噺のようなシンプルでとっつきやすい世界観で、
人間の心のどこまでも澄んだ優しさと危うさを
絶妙なさじ加減でアホ成分を振りまきつつ
やわらかーく、描いたお話と受け取ってるんですけど、
それが心地よくて大好きなんです。好き好き。
連載作品『with!!』『花の名前』はどちらも4巻で完結してまして、
『プレゼントは真珠』も例に漏れず今巻にて完結。
ヘタレ泣き虫ロマンチック男爵令息のエドワード・ローベル(16)が、
ハイスペック最強ドS伯爵令嬢のダイアナ・キャディリッシュ(25)に見初められる、
ドタバタコメディ少女漫画です。
以上です。
『花の名前』と比べると随分ライトと言いますか、
あんまり「優しさと危うさと」みたいな作品ではなく、
そういうことはまったく考えずに素直に笑える漫画だったなあと。
とは言え斎藤けん作品には変わりなく、
作中で明言されないことをあれこれと想像する楽しみもしっかり提供してくれてます。
1~3巻までひたすらコメディだったので4巻でどうまとめるかと思ったら、
まあ見事に素直にまとめてくれました。
男装の麗人・レイモンドと、脚フェチ・ニコラスの方までしっかりまとめてくれました。
この安定のクオリティ、大好きです。
柱部分では1巻からひたすら濃かったローベル家使用人の
「そんな細かいとこまで?!」と言いたくなる設定紹介までしてくださって大満足。
斎藤けんさんの漫画は端役まで濃いのもまたたまらなく魅力で好きです。
同日発売の『ねじまき真野さん』は短篇集。
何事もひとりで淡々とこなしていく女の子が隣の席の男子に構われまくってペースを乱していくお話、
自分に自信がなく幼馴染で恋人に頼りきりの女の子が少しずつ変わろうとするお話、
新任数学教師が中学時代そのままの姿をした初恋の女の子を拾うお話、
それから周囲からのプレッシャーに押しつぶされる少年少女のお話。
……とざっくり説明してみましたが、上の3作品は各キャラの心情とか展開とかひ
読みやすさはぶっちぎりで『プレゼントは真珠』が一番なので、まずこちらを買ってみて、
1巻と2巻の巻末に収録されている別の短編作品も含めて気に入ったら短篇集と『with!!』、
それから『花の名前』という順番がこう、段々深まっていく読み方じゃないかなと思います。

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